サブスクリプションは新しいビジネスモデルである、かのように感じてしまうほど、最近はサブスクリプションという言葉を耳にするようになりました。
サブスクリプションの代表例といえば、使っただけ支払うクラウドベースのサービス、モノや商品の定期購入、モノとサポートをパッケージにしたバンドル型のサービスなど、これまで売り切り型だったビジネスが、いわゆるサブスクリプションにとって変わってきました。
この記事のもくじ
サブスクリプションって何だろう?
サブスクリプションは、シェアリング・エコノミーと相性がよく、同時に語られる「カタカナ言葉」であるため、両者の意味合いを混同しがちです。
サブスクリプションとシェアリング・モデル
シェアリング・エコノミーは、いわゆる「モノの所有から利用へ」という社会的な価値観の変革の流れで登場した経済(お金の流れ)を意味しています。
人々のニーズが変化することで、シェアリング・エコノミーが広く受け入れられるようになり、いわゆる支払いという行為は、モノを所有のために大金の一括支払いから、利用料に応じた少額の支払いに変わりました。
都度利用するレンタカーはシェアリングモデルであるが・・・
かつて、多くの人は自動車を所有するために購入していました。自動車には、社会的なステータスがあったのかもしれません。今では、人々の価値観が変わり、自動車を所有するというステータスは急速に薄れました。自動車は移動手段の1つであり、必要なときに利用できれば良いわけです。
車の所有から、レンタカーの利用へ。今では十分に受け入れられる考え方です。
レンタカーは必ずしもサブスクリプションではない点に注意しましょう。レンタカーを毎月借り続ければ、レンタカーは確かにサブスクリプションと言えます。しかし、レンタカーが必要なときだけ利用し、その都度の料金を支払うなら、サブスクリプションとは言えません。
成功事例でみるサブスクリプション
サブスクリプションと呼ばれる典型的なビジネスを、サブスクリプションの事例としてみていきましょう。
サブスクリプションの代名詞:音楽配信サービス
サブスクリプションの代表例である音楽配信サービスです。
以前楽曲の購入は、CDなどのメディアを購入することが一般的でした。インターネットのブロードバンド化と周辺技術の発展に伴い、音楽の購入形態は徐々に変化し、楽曲をデータ(ファイル)としてインターネットで気軽に購入することができるようになりました。
しかしながら、違法コピーの楽曲がインターネット上で出回ることで、楽曲の販売市場は斜陽産業となりつつありました。
ちょうどその頃、Apple社が月額制の音楽聴き放題サービスを始めました。月に一定の金額を支払えば、音楽配信サービスが指定する楽曲が「聴き放題」になるサービスです。このサービスは、サブスクリプションと言えば必ず出てくる事例として有名です。
音楽聴き放題サービスは、またたくまに市場に受け入れられ、今では2桁で成長する有望市場に変化しました。
会員制サービスはサブスクリプションか?
サブスクリプションの次の例を考えましょう。有料の会員制サービスはサブスクリプションでしょうか。
アンドモワ株式会社は月額定額制飲み放題サービスを提供しています。アンドモワ居酒屋の一部店舗にて、1ヶ月3,000円から130種類のドリンクを120分飲み放題で楽しめます。期間中であれば、回数制限がなく何度も飲み放題サービスを利用できます。
これは確かにサブスクリプションです。
もし同社が、10万円を支払うことで、未来永劫利用できる飲み放題サービスを利用できる権利を売り出したら、これはサブスクリプションと言えるでしょうか?
上記2つは、「利用権利(ライセンス)」がある点では同じですが、限定された期間か、そうでないかによって、ビジネスモデルが大きく異なります。
サブスクリプション型クラウドサービス
クラウドサービスは、そのほとんどがサブスクリプションです。かつては無期限の利用権利があったマイクロソフト社のOfficeソフトウエアや、Adobe社のソフトウエアが有名です。
両社とも、現在はソフトウエアのダウンロードは無料ですが、利用の権利を月額単位で請求することで、両社のビジネス・ケースが大きく変わり、事業の収益性が圧倒的に改善しました。
利用金額が、利用の度合いによって変わるクラウドサービスもあります。しかし、クラウドサービスはそのほとんどがサブスクリプションです。
サブスクリプションとは、どのような事業形態なのだろう?
サブスクリプションは、時代をさかのぼれば、雑誌や新聞の定期購入にもあてはまります。かなり前からサブスクリプションはありました。最近になって急速にサブスクリプションがひろまりました。その背景には、シェアリング・エコノミーの普及や、ブロードバンド化、その他新技術があります。
サブスクリプションは英語ではSubscriptionと表記し、日本語では「申し込み」や「加入」を意味します。サブスクリプションは、サービスを利用できる権利を得る「契約」に「加入」するということが特徴のようにみえますが、ビジネスモデルで見た場合は、その逆です。
サブスクリプションは「解約」があり、例えば月額などで料金が発生するサービスのビジネスモデルのことです。
サブスクリプションでは、お客さまは使った分の対価を支払うため、お客さまが解約しない限り、アップセルやクロスセルをしなくてもLTV(顧客生涯価値)が伸び続けます。
サブスクリプションでは、販売前のマーケティングだけでなく、契約後のお客さまに対するマーケティングにより、解約を減らすことが求められるビジネスモデルなのです。