営業のヒアリングに今日から使える、ヒアリングシートのテンプレートを作成しました。
ヒアリングシートのテンプレートは、こちらから無料でご利用いただけます。
この記事では、このヒアリングシートの各項目の解説と、ヒアリングシートの活用例をご紹介します。
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営業のヒアリングシートに記載する10項目
この章では、ヒアリングシートに記載している項目を解説します。
「うちでもこれをヒアリングすべきかもしれない」
「ここまでヒアリングできればOKなんだ」
というヒントが見つかれば幸いです。
営業ヒアリングシートの項目1:ご要望
お客さまからのご要望はヒアリングの出発点です。ご要望をヒアリングシートに記載し、ご要望を元にヒアリングを進めましょう。
注意点は、お客さまのご要望が、お客さまの抱える課題の根幹ではないケースがある点です。「ヒアリングシートの項目4:ニーズ・課題」の章で後述しますが、「お客さまがおっしゃったこと」が「正しい結論」とは限りません。
お客さまからのご要望をそのまま間に受けるのではなく、ご要望を「とっかかり」としてヒアリングを進めます。
営業ヒアリングシートの項目2:案件に関わるお客さまの事業
お客さまの事業はWebページから事前に推測できる場合もありますが、公開されていない新規事業であれば、Webからは情報を得られません。
みなさまのサービスが関わるお客さまの事業について、必要な事実をヒアリングしましょう。
- どのような事業なのか
- 誰をターゲットとしているのか
- 競合となる企業やサービスはどのようなものか
お客さまの事業をより知るためのフレームワークに「3C分析」があります。「3C分析とは?3C分析のやり方がわかる入門編」で解説していますので、あわせてごらんください。
営業ヒアリングシートの項目3:お客さまが現在利用しているサービス
お客さまがお問い合わせをするのは、現状と理想の状態にギャップがあるからです。
現在利用している類似サービスがある場合、その不満な点や満足している点をヒアリングしましょう。利用中のサービスへの不満は、提案の際の訴求ポイントになることがあります。
営業ヒアリングシートの項目4:ニーズ・課題
ニーズとは「〇〇をしたい」「〇〇が欲しい」などのお客さまの欲求です。
営業がお客さまのニーズをヒアリングするときの注意点は、「そのニーズを満たせば本当にお客さまの課題を解決できるのか」を確認することです。
ここで、ビジネスシーンにおける「課題」を、「問題」と区別しながら整理します。
ヒアリング対象のお客さまの中には、まだニーズが具体的ではない方もいらっしゃります。営業担当者はヒアリングを通じてお客さまの問題や課題を整理し、お客さまの本当のニーズを明らかにする必要があります。
営業がお客さまのニーズを深堀りするフレームワークに「SPIN話法」があります。マケフリ記事「SPIN話法とは?相手の潜在ニーズを引き出す質問のフレームワークを徹底解説」では、SPIN話法を例文とともにご紹介しています。
営業ヒアリングシートの項目5:時期
ヒアリングの目的の1つは「すぐに対応すべきお客さまか否かを見極める」ことです。
- いつまでに導入したいのか
- 納期はいつを予定しているのか
- いつまでに成果を出したいのか
このような時期に関する情報は、お客さまの対応優先順位をつけるために重要な情報です。
時期が明らかでなければ、お客さまはまだ情報収集の段階で、自社の課題やニーズも明確でないかもしれません。このようば場合、営業担当者がすぐに商談対応するのではなく、インサイドセールス部門などから中長期的に情報提供する対応が望ましいでしょう。
お客さまの見込み度合いを見極めることを、マーケティング用語で「リードクオリフィケーション」と呼びます。マケフリ記事「リードクオリフィケーションとは?概要から理想の流れまでまとめました」で解説していますので、あわせてごらんください。
営業ヒアリングシートの項目6:予算
お客さまのご予算は、商談の優先順位を見極めるだけでなく、ご提案するプランにも関わる重要な情報です。
予算については、
- 予算が取れているのかいないのか
- 予算が取れているなら、それはどのくらいか
- 予算が取れていないなら、それはなぜか。いつごろ予算が取れるのか
このあたりを確認できるとよいでしょう。
ただし、たずね方には注意が必要です。「ご予算はおいくらですか?」とストレートに聞いてしまうと、お客さまに不快感を与えてしまう可能性があります。
予算をヒアリングする際は、「少し婉曲に伺う」「予算を調整する方法を確認する」くらいのスタンスをとりましょう。
<ヒアリングトークの例>
「ちなみに、過去にこのような案件にはどのくらいの予算がついたかご存知でしょうか?」
「私の方で見積もりも含めた企画資料を作成いたしますので、お渡しした資料をもとに予算組みの方法をご相談させていただければと思います。それとも別の方法が望ましいなどはありますか?」
営業ヒアリングシートの項目7:決裁フロー(決裁者)
決裁フローとは、お客さまがサービスを導入するまでの流れです。たとえば多くの企業は「候補の選定→候補の絞り込み→選考→トップの最終決定」などの段階を経てサービスの導入を決定します。
- 導入までにどのような決裁フローがあるか
- 現在は決裁フローのどの段階なのか
上記をヒアリングしましょう。
加えて、決裁者をはじめとした、決裁フローで関わる社内関係者もヒアリングしておきましょう。場合によっては、関係者に商談の同席を依頼する必要があるためです。たとえば、窓口の担当者やアドバイザー、関係部門の責任者など、企業の決裁フローでは多くの人間が関わります。
BANTとは、「予算(Budget)、決裁フロー(Authority)、ニーズ(Needs)、時期(Timeframe)」の頭文字を取った略語です。BANTについて「営業のBANTとは?一番わかりやすい入門編」で解説していますので、あわせてごらんください。
営業ヒアリングシートの項目8:利用者
BtoB営業の特徴として、購入者(窓口担当者)と利用者が異なる点があります。
たとえば、法人向けにPCを販売する場合を例に考えます。
窓口担当のお客さまは総務部だったとしても、PCの利用者はジムのインストラクターかもしれませんし、開発部門かもしれませんし、営業部門かもしれません。誰が利用するのかによって、販売するPCは異なるでしょう。
みなさんがITツールを販売している場合なら、「利用者がITツールに慣れているか否か」「何人が利用するのか」によって、成約後のフォローアップやサポートの方法が異なるはずです。
「製品を誰が利用するか」は、販売する製品や提案内容だけでなく、その後のフォローアップにも関わる重要な情報です。
営業ヒアリングシートの項目9:選定基準
お客さまがサービス導入にあたって重要視している選定基準をヒアリングしましょう。
- 絶対に外せない機能・性能
- 費用対効果
- 納期
- サポート体制
- セキュリティ
- ブランドイメージ
上記の選定基準は、お客さまの「導入への関わり方」によって異なるため注意が必要です。たとえば、現場のサービス利用者は使い勝手やサポート体制を重視する、窓口担当は納期を重視する、意思決定者は費用対効果を含めた金額を重視する、などが考えられます。
「営業ヒアリングシートの項目7:決裁フロー」でお客さま社内の関係者を伺い、関係者それぞれの選定基準までお伺いできれば、お客さまの会社にとって最適な提案ができます。
営業ヒアリングシートの項目10:検討中の競合サービス
お客さまがすでにお話を聞いている競合企業をヒアリングしましょう。まだお話を伺っている企業がない場合、見当をつけている企業やサービスがあるか、他社の話を伺うつもりがあるかもヒアリングできると、お客さまの現状をより正確に把握できます。
なお、競合サービスのヒアリングは「どこの企業の話を聞いているか」だけを伺ってもあまり意味はありません。
「A社にも話を聞いたが、予算内に収まらなかった」
「B社の〇〇がよかった、〇〇がイマイチだった」
「〜という理由から、C社の話も伺いたい」
上記のように、「競合企業の話をお客さまがどのように受け止めたか」「なぜその企業の話を聞こうと考えているか」までヒアリングできると、お客さまの選定基準や競合他社との差別化要素が明らかになります。
営業ヒアリングシートの活用例
過程が見えにくい営業活動において、ヒアリングシートの記入内容は貴重な中間プロセスです。ぜひヒアリングシートをチームで共有し、チームの営業力を強化しましょう。
ヒアリングシートを新人営業担当者の教育資料にする
新人の営業担当者にヒアリングシートのテンプレートを共有するだけで、新人はヒアリングすべき項目を抜け漏れなく確認できます。
先輩の営業担当者が過去に記入したヒアリングシートを新人に共有すれば、「各項目をどこまでお伺いすべきか」「どのようにお伺いしたか」を学ぶ機会になるでしょう。
新人の営業担当者にとって、初めてのヒアリングには不安がつきものです。ヒアリング項目が網羅されたヒアリングシートを新人に共有し、新人営業担当者がスムーズにキャッチアップできる営業体制を構築しましょう。
営業部門のヒアリングの質の平準化
「営業担当者によってヒアリングの質にばらつきがある」このようなお悩みも、ヒアリングシートを営業部門に展開すれば改善できます。
- チームにヒアリングシートを共有し、項目をかならず埋める運用にする
- ヒアリングシートの内容をもとに上司から部下にポジティブなフィードバックをする
属人化しがちな営業活動。チームの営業力を強化するためにも、ヒアリングシートをご活用ください。
Excelやスプレッドシートのヒアリングシートに限界を感じたら
Excelやスプレッドシートは便利なサービスですが、限界もあります。たとえば、以下はExcelでの案件・顧客管理の「あるある」です。
- ファイルが社内に散在してしまう
- どのファイルが最新かわからなくなる
- 誰かがフォーマットを変更してしまう
つまり、Excelやスプレッドシートは、顧客情報を「資産」として管理するのは得意ではありません。
「最新の案件情報を」「変更履歴まで含めて」「社内のデータベースとして一元管理」したいなら、SFA(営業支援システム)の検討をおすすめします。
SFAとは、Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)の略語で、日本語では営業支援システムと呼ばれています。SFAは顧客情報や商談、案件情報を管理し、営業活動を見える化できるクラウドツールです。
ヒアリング項目をSFAに記入すれば、チーム全員がいつでも過去のヒアリング結果を参照できるようになります。