- 「執筆途中で、書く内容に悩んでしまい必要以上に時間がかかってしまった」
- 「記事執筆後、構成のミスにより手戻りが発生し、すべて書き直しになった」
上記は記事執筆でよくある悩みの1つです。
このお悩みは、記事骨子を作成することで解決できます。
この記事では、オウンドメディアの記事骨子の概要や作成手順、注意点を具体例を交えてご紹介します。なお、記事骨子は「企画」が済んだ後に作成します。まだ企画が完成していないご担当者さまは、「年間100本以上執筆する編集部から学ぶ、オウンドメディアの記事企画術」を参考に、まずは企画を仕上げましょう。
この記事のもくじ
オウンドメディア記事骨子の概要
この章では、オウンドメディアの記事骨子の概要についてご説明します。
オウンドメディアの記事骨子とは
骨子とは、本文執筆に入る前に作成する記事の叩き台のことで、アウトラインとも呼ばれます。
骨子制作は、オウンドメディア記事制作フローの中では、2つ目のステップに位置します。
マケフリ編集部では、本文制作前にかならず骨子を作成し、記事全体のストーリーに違和感がないかをチーム内でレビューしています。
上図は、マケフリ編集部で実際に書き上げた記事骨子です。記事骨子には、「企画」と「骨子本文」の2つの要素が盛り込まれています。
1つ目の要素は、「企画」です。骨子上部に企画が記載されていると、すぐに企画を見返せます。企画と骨子の保存場所を分けてしまうと、つい企画の内容からずれたことを書いてしまう可能性があります。そのため、マケフリ編集部では骨子に企画を記載しています。
2つ目の要素が、骨子本文です。骨子本文は、「大見出し」「小見出し」「記事のストーリー」で構成されます。詳しい書き方は、記事後半でご紹介します。
オウンドメディアの記事骨子の必要性
記事骨子が必要な理由は2つ、「手戻りのリスクを減らすため」と「説得力があり読みやすい記事を作るため」です。
いきなり本文を書き始めてしまうと、執筆に挫折した際の手戻りが大きくなります。骨子をあらかじめ練っておけば、早い段階で「この記事の執筆は難しそうだから、ボツにした方がいいかもしれない」といった判断ができるため、手戻りのリスクを抑えられます。
また、しっかり骨子を練っておけば、記事に説得力を持たせやすくなります。骨子は文章の装飾を削ぎ落とし、ストーリーだけを簡潔に記載するため「こことここの話は繋がっていない」「この話に飛躍がある」といったロジックジャンプに気付きやすくなります。
骨子作成の手順:企画編
この章では、オウンドメディアの骨子作成の手順をご紹介します。
企画編では、以下5つのタスクをこなします。
なお、この章を読み進めるためには、記事の企画がまとまっている必要があります。
オウンドメディアの企画作成方法については、「年間100本以上執筆する編集部から学ぶ、オウンドメディアの記事企画術」でご紹介しています。まだ企画を準備できていないご担当者さまは、こちらの記事を先にごらんください。
項目そのものは多いと感じますが、企画がきちんと練れていれば、企画編はさほど時間はかかりません。
1:検索キーワードの選定
このステップでは、みなさんは「企画」で用意した記事テーマを、「検索キーワード」に当てはめます。この記事を読んでいるみなさまは、すでに素晴らしい記事企画をお持ちでしょう。その企画をより多くの読者に読んでいただくために、SEOを施します。
オウンドメディアのライターがSEOを意識してコンテンツを作成する上で、検索キーワードの選定は欠かせません。
検索エンジンには「ニーズを抱えた誰か」がやってきます。ニーズを抱えた検索者は、なんらかのキーワードを入力して、目当ての記事を探し出します。目当ての記事を検索するために用いるキーワードが、検索キーワードです。
どの検索キーワードで記事の上位表示を狙うのかを決め、企画に記載しておきましょう。
SEOに対するスタンスや、検索キーワードの具体的な設定方法は担当者によって異なります。マケフリ編集部のSEOに対するスタンスや、実務におけるSEO対策は「SEOとは?ライターが知っておきたいSEOの基本や検索エンジンの仕組み」にまとめました。あわせてごらんください。
2:ターゲットの選定
このステップでは、企画で設定したターゲットを詰めていきます。
ターゲット設定する際は、なるべく具体的なターゲット像を描きましょう。ターゲットの抽象度が高いと、記事の内容も抽象的になりがちです。もし身近にターゲットとする人物に近い属性を持つ友人や同僚がいれば、直接話を伺ってみるのがよいでしょう。ターゲットの解像度が上がるはずです。
説明だけでは分かりにくいと思いますので、ターゲット設定の例を1つ挙げます。たとえばこの記事では、ターゲットを以下のように設定しています。
ターゲット設定をする際は、ターゲットの属性や業務内容と合わせて、ターゲットの知識レベルまで想定しておきましょう。知識レベルまで想定しておくと、内容の取捨選択ができるようになります。
3:ニーズ(検索意図)の推測
記事を読みにくる読者は、なんらかのニーズを持っています。読者のニーズに応えてこそ、あなたの記事には価値が生まれます。
この記事を読んでいるみなさまは、すでに企画の段階で、「誰のどんなお悩みに対して、何を答えるか」を言語化しているはずです。このステップでは、企画段階で考えたニーズをさらに深掘りして文章化します。
ニーズには、顕在ニーズと潜在ニーズの2種類があります。顕在ニーズとは、ターゲットがすでに自覚しているニーズのことです。一方、潜在ニーズとは、ターゲットがまだ気づいていない本質的なニーズのことです。記事の内容が顕在ニーズだけでなく、潜在ニーズまで満たせると、読者の満足度はさらに高まるでしょう。
たとえば、この記事のターゲットのニーズを考えてみましょう。この記事のターゲットの顕在ニーズは、「オウンドメディアの骨子の作成方法が知りたい」だと推測できます。
一方で潜在ニーズは、「なぜ、オウンドメディアの記事骨子の作成方法を知りたいのか」を自問自答すると見えてきます。「記事のクオリティを向上させたい」「記事作成に必要以上に無駄な時間をかけたくない」といったニーズを推測できます。
そしてさらに踏み込むと、「オウンドメディアの記事制作にあまり予算をかけられない」「オウンドメディアのPVがなかなか上がらず、記事のクオリティに問題があると考えている」といった、さらなる読者の課題が見えてきます。
4:読了後の状態を想定する
このステップでは、記事を読んだ後の読者に、どのような状態になっていただきたいかを言語化します。読者の読了後の状態を描けていれば、記事のゴールが明確になり、「どこまで具体的に記事を書くべきか」「どんな内容を記事に盛り込むべきか」といった記事の方向性を固めやすくなります。
たとえば、読了後に「オウンドメディアの骨子を自分で書けるようになっていること」を目指した記事と、「骨子の概要や必要性を理解していること」を目指した記事では、網羅すべき記事の内容や記述の抽象度、記事の構成が変わりますよね。
5:担当者の想いや自社(自分)が執筆すべき理由を記載する
このステップでは、企画担当者がその記事を書きたい理由や、自社(自分)が執筆すべき理由を言語化します。
「仕事だから」「必要だから」といった消極的な感情で記事を書き始めるのと、「このノウハウは自社にしか出せない」「自分が苦労したから、同じ思いをお客様にさせたくない」といった明確な想いや目的意識を持った状態で書き始めるのとでは、担当者のモチベーションが変わります。
担当者のモチベーションは記事のクオリティにも影響しますので、マケフリ編集部では担当者の想いや自社で書くべき理由も大切にしています。
骨子作成の手順:本文編
オウンドメディアの記事骨子を作成する際の要点は3つです。
1:骨子では記事のストーリーを記載する
骨子で書くべきは、記事のストーリーです。記事のストーリーを表す要素として「見出し」があります。
見出しは、記事のストーリーを簡潔に表します。見出しは、骨子に必須の要素です。記事によっては小見出しを設けないこともあります。
記事の見出しだけで、大まかなストーリーが描けているか確認しましょう。
見出しができたら、次に見出し中に何を述べるかを考えます。
2:レビュワーを意識して骨子を作る
骨子のフォーマットや文量に正解はありません。ほとんど本文に近い骨子を制作している編集部もあれば、箇条書きだけのシンプルな骨子を制作している編集部もあるでしょう。
また、骨子の文量はテーマによっても変わります。「このテーマでは、かなり骨子を作り込まなければならないな」と感じることもあれば、「このテーマであれば、このくらいの骨子で十分だ」と感じることもあります。
では、何を頼りに骨子を書けばよいのでしょうか。それは、骨子の「読み手」です。一般的に、骨子の読み手は上司(編集長)と担当者本人になるでしょう。
上司が骨子のレビューをする場合、上司が「この骨子で進めても問題なし」と判断できる情報量を骨子に盛り込む必要があります。
マケフリ編集部の骨子レビューでは、レビュワーは以下の点を重点的に確認しています。
- このまま進めて、担当者が途中で挫折することはないだろうか。担当者のレベルに対して、記事のテーマや内容が難しすぎないだろうか。
- この構成で、ストーリーの論理的な飛躍はないだろうか
- 抽象的な内容ばかりになっていないだろうか。具体的なノウハウが書けるだろうか
- 骨子の内容は、企画から逸れていないだろうか
- 骨子の内容は、企画で設定したターゲットやニーズを捉えているだろうか
- 内容に偽りはないか
- 他者を傷つける文章ではないか
どんな文章にも読み手がいます。世に公開しない骨子であっても、読み手を意識することで適切な情報量が見えてきます。
3:ターゲットやニーズを骨子に反映する
ターゲットやニーズによって、骨子に書くべき内容や見出しの順番が大きく変わります。基本的には「顕在ニーズに応える内容は、潜在ニーズに応える内容よりも先に説明する」ようにすると無難です。
この記事を例にとって、骨子の構成を考えてみましょう。
この記事のターゲットは、簡単にいうと「骨子を作成したことがない、ライター初心者」です。そして、そのターゲットの顕在ニーズから、骨子の概要や、骨子の作成方法(手順)の内容が必要であると言えます。さらに、このターゲットの潜在ニーズから、記事骨子作成の注意点(テクニック)の内容も必要であると言えるでしょう。
以上より、この記事骨子は
- 骨子の概要
- 骨子の作成方法(手順)
- 記事骨子作成の注意点(テクニック)
の順になりました。
記事骨子の本文を作成する際の注意点
この章では、記事骨子を作成する際の注意点を2つご紹介します。
ロジックジャンプはないか
骨子を作成する際は、ロジックジャンプに注意しましょう。ロジックジャンプとは、ロジック(思考の道筋)に穴(飛躍)がある状態のことです。
ロジックジャンプのある文章は、読者に説得感や納得感を与えられません。読者が説得感や納得感を感じられないと、途中で読むのをやめてしまいかねません。
実際に、ロジックジャンプした文章をみてみましょう。
「オウンドメディアのコンテンツは内製するべきだ。なぜなら、コンテンツの内製は、オウンドメディアを継続的に成長させることに繋がるからだ。」
あなたはきっと「コンテンツを内製することとオウンドメディアの継続的な成長がどう繋がるのだろう?本当に継続的な成長に繋がるのか?」と疑問を抱くはずです。ロジックジャンプした文章は、読者に疑問を抱かせ、説得力に欠ける文章になってしまいます。
正しいロジックで、先ほどのロジックジャンプした文章を書き直すと、下記の文章になります。
「オウンドメディアのコンテンツは内製するべきだ。なぜなら、コンテンツを内製すると、オウンドメディア運営のノウハウを社内に蓄積できるからだ。オウンドメディア運営のノウハウとは、「オウンドメディアをどうすれば効率的に運用できるのか」などといった方法や知識だ。ノウハウが蓄積されると、自社オウンドメディア運営の施策が洗練されていくため、自社オウンドメディアの成長に繋がる。だから、オウンドメディアを継続的に成長させるために、コンテンツを内製するのをオススメする。」
上記の文章なら、あなたは違和感なく理解できたと思います。
MECE感のある見出しになっているか
見出しを作る際の注意点は、「MECE感のある見出しにすること」です。MECEとは、漏れがなくダブりもない状態を指す言葉です。あなたがたくさんの要素を共通項でまとめた記事を執筆する際は、要素に漏れやダブりがないかどうかを、特に注意しましょう。
MECE感のない見出しの場合、読者は「この記事の見出し以外にも要素があるのではないか」などと疑問を感じるため、納得感のない記事になってしまいます。すると、読者は、「有益な記事ではない」と判断し、続きを読まないでしょう。
見出しを作成する際は、MECE感のある見出しであるか、を意識して作成しましょう。
たとえば、東京都の美味しい店をまとめる記事を書く時を考えてみましょう。
見出しを作成する際に、路線(JR山手線など)に分けてまとめると、新宿駅などたくさんの路線が重なる駅の内容(お店)がダブったり、路線の近くにはない美味しいお店が漏れてしまったりします。これが、MECE感がない見出しと言えます。
一方で、見出しを作成する際に、地域(市区町村群)に分けてまとめれば、路線で分けるのと違い、漏れやダブりがないので、読者が違和感や不信感を抱くことはないでしょう。
どの切り口で考えると、MECE感がある見出しになるか、をしっかり検討することが大切です。
※この記事は2021年4月30日に更新しました。