「オウンドメディアを始めてみたいが、運営体制から必要なツールまで、わからないことだらけだ」
これは、オウンドメディア立ち上げ期の、よくあるお悩みです。
オウンドメディア運営に正解はありません。各社さまざまな運営体制で、さまざまなツールを利用しながらオウンドメディアを運営しています。とはいえ、オウンドメディア運営に共通の要点がないわけではありません。
この記事では、当社のオウンドメディア運営の体制やツールをご紹介しつつ、オウンドメディア運営の要点をご紹介します。
この記事のもくじ
オウンドメディア運営の要点:運営体制編
オウンドメディア運営を語る上で、オウンドメディアの運営体制は欠かせない要素です。この章では、オウンドメディアの運営体制についてご紹介します。
オウンドメディアはチームで運営する
オウンドメディアは、一般的にチームで運営します。オウンドメディアを定期的に更新するためには、どうしても1人では手が回らないため、必然的にチームになるのです。
オウンドメディアをチームで運営すれば、記事の投稿頻度が増えるだけでなく、相互レビューによって記事の質が高まったり、記事の企画アイデアが出やすくなったりするメリットがあります。
オウンドメディア運営は、チームの質が成果を決めるといっても過言ではありません。
それは、オウンドメディアが、ただの箱でしかないからです。オウンドメディア運営において大事なことは、「箱の中に、何をどのくらい入れるか」です。言い換えると、「コンテンツの質と量をどう担保するか」という点がもっとも大切です。
記事の質と量を担保するためには、優秀な書き手をたくさん囲い込む必要があります。そのため、オウンドメディアの運営チームは、5名以上になることはざらで、ときには10名以上の大規模なチームになることもあります。
さらに、オウンドメディアのチームメンバーは、自社の人間だけとは限りません。外注先の企業担当者や、フリーランスの担当者がチームに参画することも、よくある話です。
オウンドメディア運営を担うマネージャーや、編集長的ポジションの担当者は、社内外にいる多くのメンバーをうまく取りまとめる調整力や、スケジュール通りに、着実に記事を投稿し続ける実行力が必要とされるでしょう。
オウンドメディアの運営メンバーは、兼任で構わない
オウンドメディアの運営メンバーは、全員が専任担当者とは限りません。オウンドメディアの運営メンバーは、社内外の他のプロジェクトに所属していたり、同一部署の他の業務と兼任していたりするケースが多々あります。
一般的に、「他の業務と兼任」というと、「片手間」「中途半端」といった、あまりよくない印象を抱きます。しかし、オウンドメディアの運営では、他の業務と兼任することが、プラスに働きます。
なぜなら、オウンドメディアの記事制作では、書き手の実体験や、専門分野が何より重要だからです。書き手の実体験や専門分野の幅は、他の業務と兼任することで広がります。
これは、考えてみれば当たり前のことです。みなさんの会社に新人が入社してきて、オウンドメディアに載せる記事を執筆することになったと考えてください。彼らは業務経験がないため、当然みなさんの業務に関するノウハウは書けません。しかし、みなさんは自身の経験から、「こうやったら上手くいく」「これをやって失敗した」といった、自分にしか書けない内容を書けます。
こうして書き手の実体験やノウハウを記事にすることで、本当に読者の役に立つ記事が作れます。加えて、実体験を記事に起こすと、「圧倒的に早く書ける」というメリットがあります。私の肌感覚では、実際に体験したテーマは、そうでないテーマにくらべ、2倍以上早く書き上げられます。
したがって、オウンドメディア運営メンバーには、さまざまなバックグラウンドを持った担当者や、他の業務を兼任している担当者を集めるとよいでしょう。多様なメンバーがいるチームでは、書ける記事のバリエーションが増えたり、面白いアイデアが出たりしやすくなります。
当社のオウンドメディア運営チームのメンバーは、セミナーの運営やSNSの運用、メルマガの配信など、全員が他の業務を兼任しています。また、チームメンバーのバックグラウンドも、「元教員」「元銀行員」「元エンジニア」など、さまざまです。
オウンドメディア運営では、書き手と編集を分離する
オウンドメディアの運営では、書き手と編集者を分離します。書き手は、本文の執筆や画像の作成といった、「コンテンツそのものの制作」に注力し、編集者は受け取ったコンテンツの編集に注力します。
編集は、タグをつけて見た目を整えたり、画像をトリミングしたり、アイキャッチ画像を選定したりします。
書き手と編集を分離する理由は、分業による業務効率化のためです。コンテンツの企画から投稿までの業務を分業することで、それぞれの担当者が、自分の業務に集中できます。
当社は、コンテンツの「企画、制作」「編集、投稿」で分業しています。その理由は、編集にはHTMLの基礎知識が必要だからです。
記事の見た目を整えるためには、HTMLのタグを用います。書き手全員がHTMLのタグを覚える運営体制だと、書き手が増えるたびに教育コストがかかります。
加えて、コンテンツに必要な画像の編集には、フォトショップなどの専用のツールが必要です。書き手が増えるたびに、アカウント発行するのは金銭的・時間的コストがかかります。そのため、編集、投稿業務は、1人の編集担当者に一任しています。
オウンドメディアの運営体制は、内製がおすすめ
オウンドメディアの運営体制を考える際、検討しなければならない点は「内製するか、外注するか」でしょう。内製と外注は、それぞれ一長一短あり、「絶対にこうすべき」とは言い切れませんが、私たちは、内製をオススメします。
私たちが内製をおすすめする理由は、3つです。
内製すべき1つ目の理由は、自社にオウンドメディア運営のノウハウ(知見)が溜まることです。継続的にオウンドメディアを成長させるためには、ノウハウが欠かせません。オウンドメディア運営ノウハウは、外注では手に入りません。ノウハウは、自社で試行錯誤を繰り返すことで手に入るのです。手に入れたノウハウは、自社オウンドメディア成長のために利用できるだけでなく、セミナーのような形で外部に公開することで、そのままコンテンツになります。
内製すべき2つ目の理由は、記事の質をコントロールしやすいことです。内製ならば、記事に関する打ち合わせやレビューがかんたんにできます。執筆テーマに関する知見も、外注先企業よりも豊富なはずです。何より、内製ならば、オウンドメディア運営の思想を執筆担当者に共有、定着させられます。
内製すべき3つ目の理由は、記事執筆担当者の知識が深まることです。
記事を執筆するという行為は、初心者にもわかりやすく自分の知識を説明することに他なりません。記事を執筆することで、自分の持っている知識が体系化、言語化され、執筆担当者の業務知識が深まります。担当者の知識が深まると、オウンドメディア運営以外の分野でも、業務の生産性が向上します。「執筆担当者の知識が深まる」というオウンドメディア運営のメリットは、新人教育にも活かせます。
とはいえ多くの場合、最初からすべてのコンテンツを内製するのは難しいでしょうから、「最初は外注し、自社にノウハウが貯まってきたら内製に切り替える」という運営方針でもよいでしょう。
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オウンドメディア運営の要点:ツール編
オウンドメディア運営には、ツールの利用が必要不可欠です。この章では、オウンドメディア運営に必要なツールについてご紹介します。
CMSはWordpressがおすすめ
CMS(Contents Management System)とは、オウンドメディアのコンテンツ(記事)を管理するシステムです。CMSを利用しないと、記事の管理や編集が非常に困難なため、オウンドメディア運営ではCMSは必須と考えてください。
CMSは無数に存在しますが、私たちのおすすめはWordpressです。
WordPressは、世界でもっとも広く利用されている無料CMSです。そのため、設定や操作方法に困ったときに、トラブルシューティングをしやすいメリットがあります。
加えて、Wordpressは拡張性が高いメリットがあります。Wordpress専用の拡張機能をインストールすることで、さまざまな便利な機能を利用できます。Wordpressは、無料にもかかわらず、必要十分な機能を備えたCMSなのです。
Wordpressは拡張性が高い一方で、脆弱性(セキュリティ上の欠陥)も多数報告されています。特に、拡張機能をインストールする際は、信頼できるアプリケーションかどうか、よく確認しましょう。
参考:Wordpressには2種類ある
参考までに、Wordpressには、「WordPress.org」と「WordPress.com」の2種類あることに留意しましょう。Wordpress.orgは、サーバーにwordpressをインストールして利用します。サーバーは、自分で用意しなければなりませんので、レンタルサーバーなどをご自身で契約していただく必要があります。
WordPress.orgは、自社サーバーにインストールして利用するので、導入の手間は比較的大きいですが、高い拡張性を持ちます。
WordPress.comは、自社でサーバーを用意せずとも利用できるCMSです。wordpress.orgにくらべ、導入の手間が少ない分、拡張性は下がります。
wordopress.comとwordpress.orgには、ぱっと見のUIの違いはありませんが、細かな仕様は異なります。
迷ったら、wordpress.orgを選択しましょう。オウンドメディアの運営が進み、「これもやりたい」となったときに、wordpress.comでは対応できない可能性があります。
また、wordpress.orgは、多くのオウンドメディアが利用しているため、トラブルがあったとき、wordpress.comよりも情報を取得しやすい傾向があります
Google Analyticsなどの分析ツール
Google AnalyticsやGoogle Search Consoleといった、分析系のツールも余裕があれば用意しておきましょう。特に、Google Analyticsは、PV数やUU数を閲覧するために利用します。
オウンドメディアの立ち上げ初期は、ほとんど訪問者がいない状態が続くでしょう。そのような「分析する十分なデータがない状態」で、分析ツールを利用しても意味がありません。むしろ、「今日は訪問者が2人伸びた」「PV数10のうち、検索流入が80%だった」といった具合に、無意味にデータを閲覧してしまい、貴重な時間を消費しかねません。
オウンドメディア立ち上げ期において、もっとも大事なことは、良質な記事をどんどん投稿することです。こういった分析ツールが気になって、記事制作の時間が奪われてしまうようなら、あえて使わない勇気を持つことも大事です。
AsanaやTrelloなどの進捗管理できるツール
オウンドメディアをチームで運営する以上、AsanaやTrelloといった進捗管理ツールの利用は欠かせません。進捗管理ツールを利用することで、「誰の記事がどこまで進んでいるのか」「次の記事はいつ投稿できるのか」「どこで進捗が滞留しているのか」といった投稿スケジュールや記事制作の遅延状況を把握できるようになります。
私たちは、進捗管理ツールとしてAsanaをおすすめします。Asanaは、タスクを「カレンダー」「リスト」「カンバン方式」など、さまざまな形式で閲覧できるため、投稿スケジュールの管理や、遅延状況の把握が1つのツールで完結します。また、記事に関するやりとりも、Asana上で行えます。
テキストエディタや画像作成ツール
記事制作は、文章執筆が主な業務になるため、テキストエディタは欠かせません。テキストエディタはどのようなものでも構いませんが、私たちのおすすめはWordとGoogleドキュメントの併用です。
Wordは、校正機能が充実しています。文法的なミスがあったり、誤字脱字があると、波線で指摘してくれます。一方で、ワードの弱点は、共同編集が苦手なことです。チームでオウンドメディアを運営していると、相互レビューの機会がたくさんあります。相互レビューは、それぞれのメンバーのコメントが見える状態で、同時に編集できる必要があります。
そこで利用できるツールが、Googleドキュメントです。Googleドキュメントは、文章の共同編集に適しています。Google Docsは他のメンバーが加筆修正した内容が、リアルタイムで反映されます。一方で、Googleドキュメントの弱点は文章校正が弱いことです。
Googleドキュメントの使い方は、「Googleドキュメントの基本的な使い方とチームでの共同編集の仕方」で詳しく解説しています。あわせてごらんください。
WordとGoogleドキュメントを併用することで、それぞれのツールの弱点をカバーし合えます。私たちは、まずはWordを使って文章を書き、レビューの段階で書いた文章をGoogleドキュメントにコピペする運用にしています。ぜひ、参考にしてください。
そして、記事に図解を挿れるなら忘れてはならないツールが、画像作成ツールです。図解が作れるツールはたくさんありますが、私たちはパワーポイントを利用しています。当社が挿し込んでいる図解くらいであれば、パワーポイントで十分作れます。
もちろん、図解作成のためにフォトショップなどのプロ向けのツールも利用できますが、オーバースペックな上、ツールの利用料金や操作方法の習得コストが高いためおすすめしません。
参考:マーケティングオートメーション
マーケティングオートメーションも、オウンドメディア運営で利用するツールの1つとして押さえておきましょう。マーケティングオートメーションは、リード獲得(リードジェネレーション)からリードの引き渡し(リードクオリフィケーション)に至るまでのマーケティング活動を自動化、効率化できるツールです。
リード獲得を目的としたオウンドメディアであれば、リード獲得手段として、ホワイトペーパーのダウンロードフォームや、メルマガ登録フォームを用意するでしょう。マーケティングオートメーションを使えば、リード獲得フォームをかんたんに作成できます。
さらに、マーケティングオートメーションを使えば、リードを獲得した後の、リードとのコミュニケーションもメールマーケティングなどにより自動化、効率化できます。
マーケティングオートメーションは、メール配信機能や、リードのWeb上の行動履歴の追跡機能を備えています。そのため、適切なタイミングで、適切なコンテンツをお届けできます。
マーケティングオートメーションは、便利なツールですが、オウンドメディア立ち上げ初期に無理に導入する必要はありません。オウンドメディア立ち上げ初期は、高品質な記事を制作できる体制の構築が最優先です。
そのため、「マーケティングオートメーションという便利なツールがあり、ゆくゆく活用したほうが便利」くらいの認識で、今は構いません。