マーケティング1.0から4.0まで簡単にまとめてみた

近年では、マーケティング4.0というマーケティングの概念が登場しました。マーケティングの概念や手法は、時代に合わせて年々変化しています。

マーケティング1.0から変化をみていくことで、時代とともに変わるマーケティング概念が理解できます。

マーケティングは、今からさかのぼること200年近く前に、その概念が生まれたと言われています。

200年近く前のイギリスで産業革命にて、蒸気機関をはじめとする近代製品が、一部の人々の利用から一般社会で利用されるようになりました。産業革命によって、製品を大量生産する仕組みや、多くの人々に知っていただくための仕掛けなど、企業の戦略や事業モデルを大きく変えました。

産業革命の変化がきっかけとなって、市場の需要の創造が成長企業の課題として定着しました。

「どのように、どうやって効率的に利益を最大化するか」を工夫する。これがマーケティングの概念が生まれた始まりです。

マーケティングとは
日本でもっともよく知られているマーケティングの概念といえば、買ってもらえる仕組みづくり、といえます。くわしくは「マーケティングとは?業務で役立つ基礎知識」で、まとめました。合わせてごらんいただけますと幸いです。

マーケティング1.0 (1900〜1960年代)

マーケティングの始まりとされる1900年代にうまれたマーケティングの概念がコトラーのいうマーケティング1.0です。

コトラーとは
コトラーとは米国の経営学者であるフィリップ・コトラー氏です。顧客のセグメンテーションやマーケティング・ミックスなど、現代のマーケティングで活用している理論の考案者です。「近代マーケティングの父」「マーケティングの神様」と呼ばれることもあります。

当初のマーケティングの目的は「製品を安く売れば売れる」だった

マーケティング1.0の概念は「製品中心のマーケティング」です。需要が供給よりも多かった1900年代は、「より安くすれば売れる」という概念が浸透していました。

マーケティング1.0時代において、企業の活動で利益を最大化するためには、製品の価格を下げることで買っていただくお客さまを増やすことでした。つまり、価格弾力性のしくみで需要を増やすことがマーケティング1.0の中心的な考え方です。製品と価格で需要をコントロールできたマーケティング1.0の当時は、企業がお客さまに対して優位に立てる環境であったといえます。

価格弾性力とは
価格弾性力とは、製品の値段を変えることによる需要や供給の相関を示す数値です。需要の変化率を価格の変化率で割った値です。価格を2割下げて(-20%)、需要が1割(10%)増えた場合、価格弾性力は、-2となります。

今でもマーケティングの中核となるフレームワークが生まれた

マーケティング1.0では、「4Pモデル」というフレームワークが使われるようになりました。どのような製品(Product)を、どこ (Place) で、いくら (Price) で、どのように宣伝 (Promotion) して、売るかを考えるフレームワークです。

マーケティングミックス

マーケティングミックスは、現代でもマーケティングの基礎中の基礎の考え方であり、マーケティングを学ぶと1番初めに学ぶフレームワークの1つと言えます。

4Pモデルの中では、この時代は製品(Product)と価格(Price)が重要な要素でした。自社で開発した製品をいくらで売るかを調整することで、自社の利益の最大化していました。

マーケティング2.0(1970〜1980年代)

1970年代になると、技術発展により、製品を安価に作れるようになり、市場の価格競争が進みました。似たような製品が市場に多く出回るようになり、市場の競争がますます進みます。買い手は似たような製品の中から購入する製品を選択するようになり、企業優位の「作れば売れる」時代は終わりをむかえました。

この時代のマーケティングの流れは、マーケティング2.0と呼ばれています。

マーケティングは「買い手主導」に変化

マーケティング2.0では、マーケティングそのものが、買い手志向にシフトしたことが特徴です。企業が製品を安く売ることではなく、買い手にとって何が必要であるか、つまり「ニーズ」を知ることが重要になりました。

これがマーケティング2.0の概念である「買い手志向のマーケティング」です。

買い手を特性ごとにまとめてセグメンテーションし、攻略すべき市場を特定して、自社に見合った製品を提供する流れが必要になりました。これが、STPモデルやSTP分析と呼ばれるマーケティングのフレームワークとして知られるようになりました。

STP分析

STP分析は、マーケティングの4Pと並んで、よく知られたマーケティングのフレームワークです。

企業は競合との差別化に力を注ぐことになったのが、マーケティング2.0の特徴です。

ターゲットを絞り込む必要性とは?

STP分析で顧客の属性で絞り込むことによって、「販売対象とするお客さまの数を絞り込んでしまうと、買ってくれるかもしれない人も、買わなくなってしまうんじゃないか。これはいわゆる機会損失ではないか?」と考えてしまうのでしょう。

誰にでも売れる八方美人の商品は、買い手からみた突出した価値を見出すことが難しく、商品として面白みが欠けてしまいます。

全ての買い手に対して十分な価値訴求をすることはとても困難です。市場に商品が増えて、売り手側の競争がどんどん激しくなる現代でこそ、マーケティングは市場のターゲットを絞り込み、商品の企画開発、訴求することで、買ってくれる顧客を増やさなくてはなりません。

マーケティング3.0(1990〜2000年代)

1990年代以降は、市場に商品があふれ、ますます企業間競争が加熱する傾向にありました。企業は経済的目標を達成すべく、血眼になっていました。

一方で、これまでビジネスとは関係ないとみられていた、企業における環境や教育などに取り組む企業が出てきました。

マーケティングは「製品価値だけでは推し量れない時代へ」

インターネットの普及で、今まで得ることができなかった情報を獲得できるようになりました。企業はインターネットを使ったマーケティング活動を積極的に手がけるようになりました。

一方で、企業の社会的責任にも注目が集まり始めました。企業は、利益を追求するだけでなく、倫理的観点から事業活動を通じて、自主的に社会に貢献する責任を果たすべきであるという考えが多くなりました。

環境問題などの社会への影響と企業というのは、切っても切れない相互依存関係があります。環境問題や社会問題が世間に認知されるようになったことで、企業は「より良い環境や社会づくり」に力を入れることが1つのブランド力の指標となりました。企業は経済だけでなく、社会にとっても優秀な団体であること、これがマーケティング3.0の概念です。

企業の社会的責任をメッセージ化する

買い手は商品を購入するにあたって、購入する理由があります。「お腹が空いているから」「前から欲しかったから」などのシンプルなニーズから、「環境に良いから」「誰かのためになるから」という間接的な理由まで、商品を買う理由はさまざまです。

ここでいう間接的な理由が、マーケティング 3.0で求められる会社のブランド力です。「環境に良い」「エコ」など、その製品に合ったうたい文句を付けることで社会的責任を果たしているブランドであるとアピールする企業が増えました。

企業価値を図るマーケティング3.0のフレームワーク

マーケティング3.0では「ポジショニング」「ブランド」「差別化」という3つの側面から見る「3iモデル」というフレームワークの下で企業を評価するようになりました。

3つのiはそれぞれブランド・アイデンティティ(identity)、ブランド・イメージ(image)、ブランド・インテグリティ(integrity)を指します。

ブランド・アイデンティティは、買い手に対してポジショニングを明らかにしながらブランドを認知させることで成り立ちます。

ブランド・イメージは、ブランドと差別化によって、買い手のニーズを満たしながら、買い手にとってより好ましい感情を与えることで成立します。

ブランド・インテグリティは、ポジショニングと差別化によって買い手の信頼を作り上げることで成り立ちます。

マーケティング3.0の例:社会活動がマーケティングの要素になる

ユニクロでは「Clothes for Smiles」という活動を展開しています。自社の売り上げからファンドを設立して、子供達への夢と希望を提供するプロジェクトです。ファンドのうち5億円はユニセフの支援に。残りの5億円の活用方法は、アイデアコンペによって決定されます。

このような活動も大事なマーケティングの要素であり、買い手が購入する間接的な理由づけとなり得ます。

ユニクロはもともとシンプルで価格をおさえた商品が多かったですが、このように社会的価値をブランドに与えることで新たな価値を製品にも付随することができます。

マーケティング4.0(2010年代〜)

2010年代になると、市場には環境に配慮するような製品も増えてきました。買い手の製品購入のプロセスが、さらに変化したことでマーケティング4.0の考えをコトラーは提唱しました。

マーケティング4.0は「消費者自身を満たすこと」が必要

マーケティング4.0の概念は「自己実現のマーケティング」です。企業は環境への配慮のような社会的要因だけでなく、自己実現のような精神的価値を満たす製品が求められるようになることを意識するようになります。自己実現はマズローの5段階欲求説の最後の段階である自己実現欲求に基づいたものです。

最近では、ソーシャルメディアやブログなどの普及により、買い手が自ら情報発信をできる環境が整ってきました。自分で買った商品をソーシャルメディアやブログを通じて情報発信できるようになりました。

そのため、企業のマーケティング活動は製品購入までのプロセスだけでなく、買い手の購入後のプロセスまで考える必要が出てきました。

企業の狙いは消費者に製品のファンとなってもらうこと

マーケティング4.0では、コトラーによると、顧客の購買プロセスを従来のものから「5a理論」に変えて考えるべきです。

マーケティング4.0における5a理論は、認知(Aware)→訴求(Appeal)→調査(Ask)→行動(Act)→奨励(Advocate)という5つの段階が現代の消費者の購買プロセスには存在する、というフレームワークです。

マーケティング4.0の究極の目標は、ただ製品を認知してもらうだけでなく、製品のファンになってもらい、顧客自ら製品の推奨をしてもらうこと重要です。

「インスタ映え」という言葉に代表されるように自分が得た情報や経験をシェアするようになりました。企業は自社で製品をPRするだけでなく、消費者同士が製品を推奨し合うような製品を作っていく必要があります。

さいごに

マーケティング1.0からマーケティング4.0までを見ていただくことで、時代とともに企業のマーケティングが変化してきたことをご理解いただけたかと思います。

マーケティング4.0といっても、基本はマーケティング1.0やマーケティング2.0にあります。STP分析や、プロダクトミックス(4P)をしっかり定義、実行した上で、マーケティング3.0やマーケティング4.0の概念を取り込むことが重要であることに変わりはありません。

みなさまのマーケティング活動のご参考になれば幸いです。