買い手の行動でセグメンテーションをする最近のマーケティングでは、ペルソナは以前よりも重要になりました。みなさまも、マーケティングでペルソナをつくる機会があるでしょう。
ペルソナとは、あなたの商材を買っていただきたい、ターゲットとなる理想の顧客像です。
今回はペルソナの概要、ペルソナの作り方をわかりやすく説明してまいります。
この記事のもくじ
ペルソナとは?
ペルソナとは、マーケティング用語であり、あなたの製品やサービスのターゲットとなる理想の顧客の人物像です。
買い手の購買行動を重視する最近のマーケティングでは、ペルソナは年々重要になってきました。
メルマガ、ホームページ、リードナーチャリング、セミナーなど、あらゆるマーケティング施策では、お客さまに情報提供するだけでなく、お客さまの購買行動を促すことが欠かせません。各マーケティング施策のターゲットとなるお客さまに取っていただきたい行動に重点をおく最近のマーケティングでは、商品企画からペルソナを設定することが多くなっています。
ペルソナは、ターゲットとなる顧客に関する、氏名、年齢などの基本属性に加えて、購買に関連する主な行動属性を含みます。マーケティングの基本であるセグメンテーションの情報です。基本属性と行動属性の両方をペルソナに加えることで、ペルソナにリアル感が増します。
セグメンテーションとは、買い手の市場やタイプを、売り手にとって意味のある要素で切り分ることをさします。くわしくは「セグメンテーションとは?事例で学ぶ基礎と活用方法」でまとめました。あわせてごらんください。
ペルソナの作り方
ペルソナの作り方を具体的に説明します。ペルソナは、BtoBマーケティングとBtoCで分けて考えるようにしましょう。BtoBマーケティングでは、担当者の特徴だけでなく、担当者が所属する企業のペルソナも購買行動に影響を与えるからです。
BtoBマーケティングとは、法人顧客向けのマーケティング活動を指します。BtoBマーケティングは、一般的なマーケティングの教科書で取り上げられない特徴があり、手法や施策、テクニックが欠かせません。くわしくは「BtoBマーケティングの6つの特徴・5つの手法・4つのテクニック」でまとめました。あわせてごらんくださいませ。
ペルソナの作成は、情報を集める、まとめる、仕上げるの3つのステップで進めます。
ペルソナに関する情報を集める(BtoC編)
ペルソナに関する情報を集めます。BtoCでは購入者が個人になるため、ペルソナは個人に関する情報を集めます。
ペルソナで集める情報は、マーケティングで使うセグメンテーションの要素が活用できます。
ペルソナで集める情報の例(BtoC)
年齢 居住エリア 職業 家族構成 年収 趣味 最近の関心事・悩み事 消費傾向 よく使うメディア 休日の過ごし方など
ペルソナは具体性をもたせたほうが、マーケティングで活用できるペルソナが完成します。もしペルソナに関する情報収集が不十分であるなら、インタビューやアンケートを実施するなど、多くの情報を集めるようにしましょう。
ペルソナに関する情報を集める(BtoB編)
法人顧客向けのペルソナでは、購入担当者だけでなく、企業に関する情報もペルソナに取り込みます。BtoBマーケティングでは、対法人取引であり、企業の事業内容や規模、企業風土によってもペルソナが変わってくるからです。
BtoBマーケティングにおけるペルソナに関する情報をまとめました。
ペルソナで集める情報の例(BtoB)
業種 市場規模(市場の成長性) プロダクト 売上規模 従業員数 企業風土 部署・部門 チームの規模 予算 目標(売上目標など) 目標を達成するための課題 あなたの会社の製品に関する知識
BtoBのペルソナもBtoCと同様にできるだけ多くの情報を集めます。もし、十分な情報が集まらない場合には、アンケートやインタビューをして情報の収集につとめましょう。
ペルソナに関する情報をまとめる
ペルソナに関する情報を集めたら、次は集めた情報を整理します。BtoCの場合は、基本属性と行動属性に分けます。BtoBの場合は、企業情報と担当者情報に整理しましょう。
BtoCのペルソナに具体性を持たせるために、顔写真もしくはイラストを追加して、経歴や行動の特徴なども、メモしておくことをすすめます。
ペルソナが具体的になればなるほど、カスタマージャーニーの作成や、その他のマーケティング施策にも使い回せるようになります。
カスタマージャーニーとは、お客さまの購買にいたるまでの一連の行動や、感情の推移を含む「体験」を、「旅」にたとえた言葉です。くわしくは「カスタマージャーニーとは?一番わかりやすい入門編」でまとめました。あわせてごらんくださいませ。
BtoB向けのペルソナでは、企業情報と担当者情報に分けて整理しましょう。BtoCのペルソナと同様に顔写真やイラスト、製品の業界シェアや担当者の略歴なども追加しておくとよいでしょう。
ペルソナを仕上げる
ペルソナを具体的にまとめます。ペルソナは物語風にまとめたほうが具体的な人物像として描写にリアル感があります。ただ、次に紹介するペルソナの例ていどにまとまっていれば、カスタマージャーニーマップの作成など、マーケティング施策に利用するなら十分です。
ペルソナの仕上げでは、情報をまとめると同時に、ペルソナを象徴する写真やイラストを追加しておくと、ペルソナのイメージが一層わきやすくなります。
ペルソナの例
今回説明した方法で、BtoB向けのペルソナの例を作成しました。ペルソナの例には、企業情報と担当者情報の両方が入っています。
ペルソナが具体的にならないなら、ペルソナに関する情報収集に戻ってみましょう。ペルソナの行動に加えて、その行動をとる「動機」や「理由」に着目することで、よりリアルなペルソナの人物像が描けます。
ペルソナを作成する上で、人物の行動パターンを明らかにするよりも、「どうしてその行動を取るのか?」という意志決定に至るまでの動機や理由に着目すると、ペルソナのリアル感が増します。リアルなペルソナはマーケティング の現場で活用しやすくなります。
なぜペルソナがマーケティングで重要なのか?
ペルソナを作るメリットをあらためて整理します。ペルソナを活用するメリットは、ここで紹介する3つに集約できます。
ペルソナを明確にすると企画を考えやすくなる
ペルソナには、ターゲット顧客の属性だけでなく行動属性も含めます。ペルソナによってターゲット顧客の人物像が明確になるため、マーケティング施策の企画が具体的になります。
マーケティング施策にはゴールがあります。マーケティング施策のゴールとは、その施策によってペルソナがとる行動のことです。ペルソナと、そのペルソナに取ってもらいたい行動の具体性が高まります。その結果、あなたのマーケティング施策を企画の具体性も高くなります。つまり、マーケティングの企画の質をあげることにつながります。
具体的なペルソナが、質の高いマーケティング施策の企画作成につながります。
ペルソナがマーケティング施策の企画の社内承認が取りやすくなる
ペルソナは、あなたの製品やサービスのターゲットとなる人物像です。ターゲットが明確になっているマーケティング施策は、企画の論理性がしっかりします。「ターゲット顧客(ペルソナ)に〜という行動を取っていただくためのマーケティング施策」と、企画の骨子が明瞭になります。
ペルソナと企画が明瞭かつ具体的になれば、マーケティング施策のためのコンテンツの企画もスムーズに進むでしょう。メルマガのコンテンツ1つを取っても、施策の目的、対象となるペルソナがしっかりとしていれば、社内をしっかりと説得できるコンテンツの作成ができるようになります。
ペルソナが自社の共通認識をとりまとめる
あなたの製品やサービスにペルソナを設定することで、企画からマーケティング、営業、サポートまでの顧客接点に一貫性がでます。各顧客接点で、ペルソナに最適な対応をするだけで、顧客満足度が改善します。
その上、ペルソナを設定することで、各顧客接点での顧客対応がペルソナ毎にパターン化できるようになります。マーケティング、営業、サポートの顧客接点にて、業務の流れや作業が固定化されるため、業務の効率化につながります。
カスタマージャーニーの各顧客接点における、ペルソナが感じる体験や経験、感想なども、あなたが設定したペルソナの人物像から浮かび上がってきます。例えばサポートで、購入した顧客が予想しなかった驚きを得ることによって、LTV(顧客生涯価値)を引き上げ、多くの優良顧客を生み出します。
LTVは日本語で「顧客生涯価値」もしくは「生涯顧客価値」となります。ビジネスにおいて、顧客の一時的な売上を重ねるのではなく、同一顧客の連続的な購買も考慮にいれることで、あなたの会社の利益の最大化をめざします。
満足していただいたお客さまは、同僚や知人にあなたの製品やサービスを伝えたくなるものです。このような連鎖が発生することで、売上アップにつながります。だからこそペルソナの設定が重要になります。
さいごに
ペルソナの作り方を紹介しました。あなたの製品やサービスのターゲット顧客の人物像がペルソナです。ターゲット顧客の人物像が複数存在する場合には、ペルソナも複数つくりましょう。
マーケティングに関わる施策の企画では、必ずペルソナをつくりましょう。