「ステップメール」と「メルマガ」はメールマーケティングの主要な施策です。両者の違いがわからなければ、どちらが自社に向いている施策なのか判断がつかず、うまく使いこなせません。この記事では、基本的なメルマガとステップメールの違いや、具体的な利用シーンをご説明します。
ステップメールに関する基礎的な知識は「ステップメールとは?設計方法や成功事例、ツールをまとめました」をご参照ください。
この記事のもくじ
メルマガとステップメールを分ける2つの違い
この章では、メルマガとステップメールの違いをご紹介します。メルマガとステップメールは混同されがちな概念です。しかし、メルマガとステップメールにはそれぞれ特徴があります。まずは、両者の特徴をご説明します。
メルマガとステップメールの違い:始点と終点がある
メルマガとステップメールの1つ目の違いは、「始点と終点の有無」です。ステップメールには始点と終点がありますが、メルマガにはありません。
ステップメールには、1通目から最後のメールまで、一貫したストーリーがあります。
たとえば、ステップメールを使えば、事前に設定した「自社の理念を理解した後で、商材に興味を持っていただく」というストーリーに準じて
- 1通目:自社からの挨拶
- 2通目:ユーザーの声
- 3通目:製品資料請求フォーム
と、一連の流れでコンテンツを設計できます。
一方でメルマガは、1通のコンテンツの中でストーリーが完結します。メルマガは、誰がいつ読み始めたかにかかわらず配信され続けるため、始点と終点が決まりません。
メルマガ(メールマガジン)がその名の通り、雑誌のように終わりのない定期配信を特徴に持っているのに対し、ステップメールは、ストーリーとオチが決まっているゲームのようなものです。
別記事「メルマガの作り方を徹底解説|メルマガ担当者の必携マニュアル」では、メルマガの作り方を4つのステップに分けて詳しくご紹介しています。メルマガ施策にご興味のあるご担当者さまや、メルマガの作り方を模索しているご担当さまはぜひご参考ください。
メルマガとステップメールの違い:自動配信か否か
2つ目の違いは、「自動配信か否か」です。ステップメールは、自動配信が基本です。自動配信の条件(トリガー)は、ツールによって細かく設定できます。
ステップメールの配信トリガーの一例は以下です。
- フォーム登録や商品の購入といった「顧客の行動」
- 購入から1週間後といった「特定の日時」
ステップメールは、1度設定してしまえば自動で配信され続けるため、「楽だ」と感じるかもしれません。しかし、そこに落とし穴があります。
ステップメールは自動で流れ続けるため、意識的に見直しをしないと、放置されがちです。メールの改善が億劫になり、効果の出ないメールを送り続けてしまうのです。これは、私たちの実体験です。
一方でメルマガは、配信の都度「配信設定」が必要です。具体的には、
- 配信するセグメントリストの選定
- 配信タイミング
などの設定が毎回発生します。メルマガの配信設定は手動のぶん手間はかかりますが、PDCAが回しやすいメリットがあります。
利用シーン別、ステップメールとメルマガの違い
ここまで、ステップメールとメルマガの違いについてお伝えしました。この章では、両者の違いをもとに、それぞれが向いている利用シーンをご紹介します。
ステップメールが向いている利用シーン
ステップメールは、
- 配信の即時性が重視される場面
- 獲得ソースとユーザーニーズが明確な場面
- 対応すべき件数が多く、個別対応が困難な場面
という3つの条件下で大きな効果を発揮します。
たとえば、「お役立ち資料(いわゆるeBook)」ダウンロード後のフォローメールは、ステップメールが向いています。
私たちは、メールマーケティングのノウハウeBookをダウンロードしたお客さまには、最終的にメールマーケティングのセミナーをおすすめするステップメールを作成しています。
具体的にどのようなメールが、どのようなスケジュールで送られるのか、気になるご担当者さまは、私たちマケフリ編集部がステップメールを活用しているeBook「読んでもらえて商談につながる!メールマーケティングの教科書」をぜひダウンロードください。
一般的に、資料をダウンロードしたタイミングは、もっともユーザーの興味関心が高い状態です。そのため、資料ダウンロード直後に素早くフォローできると、CVRが高まります。ステップメールなら、資料ダウンロード直後に追客できます。
また、eBook施策は、ユーザーのニーズを明らかにしやすい特徴があります。メールマーケティングのノウハウeBookでは、当然「メールマーケティングに興味がある」ことがわかるため、「メールマーケティングセミナー」や「メールマーケティング事例の紹介」といった適切なCTAを起きやすくなります。
最後に、eBook施策は、フォローすべきリード数が多いことも特徴的です。一般的に、購入顕在層から離れるにつれ、リード獲得数は増加します。ここを1件ずつ対応するのは非常に困難ですし、対応もれも発生します。その点ステップメールなら、機械的に全数対応できますので、ヒューマンエラーを心配する必要がありません。
以上3点から、eBookダウンロード後のフォロー手段として、ステップメールはうってつけです。
メルマガが向いている利用シーン
メルマガは、
- 長期スパンでファンを獲得したい場面
- 配信リストのニーズが多種多様
- 顧客の関心度が高まるタイミングが読めない場面
の条件下で大きな効果を発揮します。たとえば、BtoBの高額商材購入を最終目的とする場合や展示会後のフォロー、失注顧客のフォローはメルマガが向いています。
BtoBの高額商材は、購入までの道のりが長く、短期間ではなかなか売れません。長期的にファンを獲得できるメルマガは、商材の購入を検討しているお客さまに、自社商材を思い出していただくために効果的です。
展示会で出会う見込み客のニーズはさまざまです。それぞれの見込み客に刺さるテーマを見つけ、送り分けるのは至難のわざです。
失注顧客のフォローは、次にいつ受信者の関心が高まるか読めません。関心を再び持っていただけるタイミングが、1年後や2年後かもしれません。1年分のステップメールの設計は、労力やメンテナンスの手間を考えると、現実的ではありません。長期的なお付き合いが必要なら、メルマガがおすすめです。
また、メルマガはステップメールよりも作成コストが低く、スモールスタートに向いた施策です。メルマガは、ステップメールと違い、一度送ってしまえばわざわざ再利用しなければ二度と受信者に届きません。そのため何年も使う完璧な文面を考える必要がなく、1通の作成コストを抑えられます。
メルマガは、少ない労力で長く配信し、少しずつファンを獲得するために使いましょう。
メルマガ施策を続けていると、いずれ当たる壁が「ネタ切れ」です。別記事「4ステップでメルマガのネタ切れを防ぐ|読者に感謝される、メルマガのネタの見つけ方」では、BtoBでもBtoCでも使えるメルマガのネタ探し方法を、具体例とともにご紹介しています。
メルマガとステップメールは、併用が効果的
ここまでは、メルマガとステップメールにはそれぞれ特徴があり、得意なシチュエーションが異なることをご説明しました。この章では、メルマガとステップメールの組み合わせ方を2つご紹介します。
メルマガとステップメールは、リソースに余裕があれば、併用してみましょう。両施策を組み合わせることで、見込み客とのOne to Oneの関係を手間をかけずに継続できます。
メルマガからステップメールへの連携
この方法では、メルマガのリンク(CTA)クリックをトリガーとして、受信者にステップメールを配信します。
「リンクをクリックした」ということは、興味関心度が高まっているサインです。そのタイミングを逃さず、ステップメールで追客することで、メルマガ効果をさらに高められます。
メルマガへの反応に応じて受信者を選別(セグメンテーション)をして、ステップメールを配信することで、見込み客の関心が高まったタイミングを見逃さずに、ニーズを掘り起こせます。
ステップメールからメルマガへの連携
ステップメールに反応しなかった顧客を、メルマガの配信リストに組み込みましょう。
ステップメールを送ったからといって、全員が反応して理想通りの行動を取るわけではありません。むしろ、私たちの経験上、反応しない顧客が大半です。
ステップメール終了時点でフォローをやめてしまうと、せっかく獲得した見込み客との接点を失います。そのため、ステップメール終了後は、メルマガで定期的に接点を持つのです。